──スポーツに限らず、日本ではチームワークが重視されます。一方、強い個=タレントがいなければ、チームは勝つことができません。チームワークとタレントは両立するのでしょうか。
チームワークとタレントは相反する概念ではありません。抜きん出た才能の選手が一人いれば、1、2試合は勝てるでしょうが、何試合も勝ち抜くことはできません。一方で、よいチームワークがあれば長いリーグ戦や大きな大会で勝利を手にすることができます。
世界のサッカーの歴史に名を残すペレやマラドーナ、そしてメッシといった天才プレーヤーたちも、例外なくチームワークを大切にし、それによって栄光のキャリアを築いてきました。一流選手というものは、ファンのみならず、チームメートからも愛され信頼されています。才能だけが光っているような選手は一流とは言えません。日本の選手は自分の才能を生かす楽しさも、周りの才能を生かす大切さもよくわかっています。
──次に選手の自律性についてお聞きします。ピッチ上では、選手が自律的に判断し行動しなければならない場面が必ずあります。そういう自律性を持たせるために何か工夫されていますか。それとも自律性の高い選手だけを代表に選んでいるのでしょうか。
代表選手の選考にあたっては、4つの基準を設けています。個性、身体能力、技術、そして戦術です。自律性は個性に含まれるでしょうが、もちろん重視しています。先ほども言いましたように、サッカーはチームスポーツであるとともに、個の局面も強いので、自分で適切な判断を下せる力が不可欠です。当然、そういう力に優れた選手を選んでいます。