肩書は部下を守るためにある

佐々木則夫には一つの苦い経験がある。プロ化に舵を切る過渡期にあったNTT関東のサッカー部で、部員をプロにするか、サッカーを断念させて社業に専念させるか、という人事面での決断を求められたのだ。

佐々木の意見はなかなか通らなかった。上司からは、「佐々木は、平社員なんだから我慢しろよ」と言われる。上司よりもサッカーに関する知識や経験は上。にもかかわらず、現場のトップである佐々木監督の意見は、社内の肩書が壁となり、サッカー部のための改革案として通すことができなかった。

「幼いときから、土木建築業を営み、部下を守る父の背中を見て、『肩書は部下を守るためにある』という信念を持つに至りました」と語る、佐々木の度量は大きくて深い。リーダーとしての佐々木を、上田栄治はこう語る。