サッカー女子W杯ドイツ大会で優勝した、女子日本代表(通称、なでしこジャパン)。その強さの秘密はどこにあるのか。藤原和博氏が佐々木則夫監督に迫る。

【藤原】なでしこジャパンの強さ、これまでの道のりが少し見えた気がします。チームをまとめるために気をつけたことは何ですか? スタッフの力も重要と考えていますね。

試合中に厳しい表情で指示を出す佐々木監督(PANA=写真)。

試合中に厳しい表情で指示を出す佐々木監督(PANA=写真)。

【佐々木】北京五輪のころまで、私は自分のチームをつくるのに精一杯で、自分のやりたいようにやっていたところがあった。ただ、北京五輪の後は、私のやろうとしているサッカーをスタッフも十分に理解してくれていたので、スタッフに任せることも多くなりました。

例えばゴールキーパーを担当する前田コーチ(前田信弘)には、キーパーのプロジェクトを一任していました。細かいところはコーチの裁量で判断してもらい、何かあったら話をしてもらう、というスタンスですね。能仲テクニカルコーチ(能仲太司)も、私の考えていることはすぐにわかる。私が欲しい映像を常に先回りして集めてくれました。

【藤原】監督は映像を効果的に使っていますね。ドイツ戦直前に東日本の震災のビデオを見せて、選手に大切にすべきものを共有させる。あるいはアメリカ戦の直前に女子サッカーの歴史を見せる。種々の映像もコーチの方とのコミュニケーションあってのものなのですね。

映像に関しては、すべての試合をスタンドの上からテクニカルコーチが撮影しているとか。監督は「フィードバック情報を与え実力を客観視する」ことを重要視されているとうかがっています。映像は、ミーティングで使用するほか、それを作成したテクニカルコーチが選手と直接、話をすることもあるそうですね。