真のリーダーは他薦で生まれる

──選手には強い自律性とともに、人を率いるリーダーシップも重要です。日本人はさまざまな局面でリーダーシップが弱い、とよく言われるのですが、今の代表はどうですか。

優れたリーダーシップを備えた選手がすでにいますので、それに関しては心配していません。そういった選手も、自分からリーダーだと言っているわけではなく、周りからリーダーにふさわしいと認められて自然にそうなっています。リーダーは結局、自薦ではなく、他薦であるべきでしょう。

──チームにおいて、リーダーシップを発揮するのは一人でいいのでしょうか。それともポジションごとにリーダーがいるべきでしょうか。

周囲の選手たちのチームへの信頼感が高まりますから、リーダーが複数いるチームのほうが望ましいのは確かです。ただし、リーダー同士が対立しない、という前提つきです。監督も一人のリーダーですが、それは役職がそうさせているわけです。選手の場合は違います。監督が一方的に指名したリーダーより、選手のなかから自然に生まれてくるリーダーのほうが価値が高く、そういうリーダーが率いるチームのほうが結束力が高いと思います。

──リーダーシップに関して、イタリアと日本で違いがありますか。

本質的な差はあまりないように思います。監督のリーダーシップという面では、どこの国の選手も、監督からいかに見られているか、声をかけられているか、を非常に気にしており、それに監督がどう応えられるか、ということだと思います。そのためには選手に対して一方的に発信するだけでなく、彼らの声に耳を傾けることも必要です。