じつは、血圧の薬を飲んだから長生きできるというデータが、日本にはないのです。どの国でも、薬が効くかどうかを確かめるために、数万人単位の比較調査をします。
血圧なら、血圧をコントロールしたグループと、放置したグループのその後を何年もかけて、違いが出るかどうかを調査します。しかし、日本人を対象にした調査は一度も行われていません。データがありませんから、証明もできないわけです。
逆に、血圧を下げすぎている人のほうが、死亡率が高いというデータがあります。血圧は、年齢を重ねるほど上がってきます。年をとると、血管のなかが動脈硬化で狭くなってきます。狭くなると血液の流れが悪くなり、血圧が高くないと脳に十分な量の血液を送ることができないからです。
昔は、最高血圧の基準値は「年齢+90」と言われていました。私は、これは当たっていると思います。昔の人の知恵は侮れません。
血圧は一日のなかで大きく変動します。ですから、高かった、低かったと一喜一憂する必要はありません。ただ、ずっと200を超えるようならば、ほかの病気が生じる危険がありますから、病院へ行く必要があります。
70歳をすぎたら健康診断を受ける必要はない
同様に、コレステロール値の基準も、世界基準より低い設定のために、日本では健康診断で「異常」とされる人が多くいます。じつは、血圧と同じで、コレステロール値が高めの人のほうが長生きするというデータがあります。
なぜなら、コレステロールは、男性ホルモンをつくる大事な材料なのです。それをわざわざ薬で減らせば、元気がなくなるのは当然です。免疫細胞の材料でもありますから、免疫機能の低下も招いてしまい、がんになりやすくなる可能性もあります。
このように、健康診断の数値は健康を守ることから大きくズレているのです。私は、70歳をすぎたら、もう健康診断を受ける必要はないと考えています。