外国での結婚は日本でも有効と聞いていて、翌月東京に行ったとき区役所に届け出た。戸籍とはどういうものなのか興味津々で、戸籍謄本をとった。外国人は戸籍の筆頭者にはなれないので、筆頭者は私だ。

「平成○○年○○月○○日国籍フィンランド国○○○○(西暦○○○○年○○月○○日生)とアメリカ合衆国ペンシルヴァニア州の方式により婚姻同年○○月○○日証書提出東京都○○区○丁目○○番地(註、本籍地)○○○○(註、父の氏名)戸籍から入籍」

スペースも句読点もない文章で、最後の「入籍」の籍の字に小さいハンコが押されている。ここで「入籍」というのは、新たに作った私の戸籍への入籍を指す。

上記の文の下には、「妻」という欄があり「美加子」と私の名前が書かれている。これは、筆頭者は私、その妻も私であるかのようでわかりにくい。

ただし、男性の場合も同様の書き方になる。男性を筆頭者とする戸籍には、同じ場所に「夫」という欄があり、そこに筆頭者の名前が書かれる。戸籍は、わかりやすく記録することを目的にしていない。

夫の名前は、日本式に姓を先にして書かれている。しかし、生年月日は西暦で書かれていて統一性がない。それ以外のすべての時間の表記は元号なので、そこだけ時間の秩序が異なっている。

私の生年月日は2カ所に書かれていて、無駄な重複がある。「戸籍上は男性(女性)」という表現をよく聞くが、戸籍に男女の別は記されていない。性別は長男、長女などの記載からわかるのだろう。

バツイチと死亡の双方につけられる印

バツイチという表現がある。離婚すると、戸籍に×がつけられるという理解からきた表現と思われる。しかし、私の戸籍は外国人との2度目の結婚で作られたものなので、最初の結婚についての記載はない。

一方、私の父を筆頭とする戸籍には、私の最初の結婚、離婚と2度目の結婚についての2つの記載があり、両方の記載の下の欄にバツをつけられた私の名前がある。

つまり、私という人の記録としては重複しながら一貫性に欠けている。遺産相続の際、故人のすべての戸籍を集めなければならず時間がかかって煩雑なのは、こうした欠落がありうるからだろう。

写真=iStock.com/yamasan
※写真はイメージです

バツイチは、戸籍上では除籍と記される。死亡した場合も除籍になりバツがつけられる。

私の父を筆頭とする戸籍で、父は「平成○○年○○月○○日午後○○時○○分東京都○○区で死亡同月○○日親族○○○○届出除籍」になっている。死亡診断書ではないのだが、何時何分まで書かれている。

また「親族○○○○」と書かれているのは、私の母である。なぜ「妻」ではないのか疑問がわく。上の記述の下方に「夫」という欄があり、父の名前が書かれているが、そこにはバツがつけられている。

父が死亡し除籍されたことは、父を筆頭者とする戸籍に記されているが、死んでも筆頭者であり続け、母はそこに居続ける。

ただし「平成○○年○○月○○日夫死亡」と記入されていて、その下にある「妻」の欄で、妻という字が太めの縦線で消されている。