「担当芸人が売れる=自分のおかげ」と勘違いする人は多い

マネージャーは「勘違いできる職業」です。なぜなら、「担当している芸人が売れる=自分も売れている」と思ってしまうからです。

芸人が「売れるための地図を描く」のはマネージャーだとしても、次に呼ばれるかどうかはタレントしだい。マネージャーは、売れる「サポート」しかできないのです。

それなのに、タレントの活躍を自分のおかげだと思ってしまったマネージャーは、担当を外れたときに試練に直面します。次に担当した芸人を売れっ子にできず、挫折するマネージャーを山ほど見てきました。

担当がかわったとき、そのマネージャーが「過去どんなマネジメントをしてきたのか」が浮き彫りになります。勘違いして横柄な態度をとっていたマネージャーが新人を担当しても、成果を出すことはできないのです。そうやって挫折したマネージャーの多くは「マネージャー」という職業そのものを辞めます。

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必ず売れっ子と新人の両方を担当させるワケ

こういった「勘違い」を防ぐために、SMAでは「売れている芸人だけ」を専任で担当させることはしません。必ず、売れている芸人・新人芸人のどちらも担当するようにしています。売れている人を担当していると、仕事は「断る」ばかりになってしまいます。

でも新人の場合、「お願いする仕事」も多発します。そうやってバランスを取り、自分の能力を勘違いしない環境を作っています。

とはいえ、マネージャーが担当する芸人が売れるかどうかの鍵を握っていることは間違いありません。マネージャーがかわったことがきっかけで転落してしまう芸人ももちろんいます。

帯番組を担当するほど売れていた芸人でも、マネージャーがかわったことがきっかけで仕事が無くなることもあります。これは芸人が「自分の能力だけでうまくいっていた」と勘違いしていた事例でしょう。

錦鯉の『M-1』優勝時、現場には行っていなかった

マネージャーをしていると、複数の現場が被ることがよくあります。そういうとき、私が選ぶのは「自分が足を運ぶことでより未来に繋がりそう」だと思う現場です。

錦鯉が『M-1グランプリ』で優勝したときのことを例に挙げましょう。

彼らの人生を左右する、かなり重要な局面です。多くの人が、SMAのチーフマネージャーとして私が錦鯉の現場に赴くと思っていました。でも、私が選んだのは毎月行われている事務所ライブでした。