ほとんどの芸人はいずれ夢を諦めることになる

この話を聞いたとき、「これだ!」と思いました。ちゃんと会話ができて、コミュニケーションが取れるだけで人は出世できる可能性がある、と思ったのです。

これは芸人が次のステージに行ったときも同じです。

97%が売れない業界ということは、ほとんどがいずれ芸人の道を諦めることになります。何年も一生懸命取り組んだことを諦めて第2の人生を選ぶことは、とてもつらいことです。だからこそ、次のステージに進んでも可愛がられるような人間になってほしい。

仲間同士で傷を舐め合い、みんなが泥水をすすっている状況に置かれると、芸人という肩書に甘え努力をしなくなってしまいます。そんな情熱を失った状態では売れるわけが無いし、ステージを変えるなら早ければ早いほど良いのです。

芸人として才能が無かったとしても、情熱をもって一生懸命頑張っている人は絶対に見捨てません。クビも切りません。たまたま「マネージャー」という職業に就いただけで、人の夢を打ち砕くようなことはしたくないからです。

惰性で「お笑いごっこ」をしている人には肩たたき

でも、売れる可能性が無い、やる気も失っている芸人には「次のステージに進んだほうが良い」と面談で伝えることも必要です。腐ったミカンは、まわりに伝播します。厳しい言い方になりますが、「お笑いごっこ」になってしまっている人には責任をもって、ステージを変えることを促します。

ステージが変わったとき、その人が次の場所で成功できるよう、人間として育てることもマネージャーの仕事なのです。

「時間を守る」「挨拶をする」「明るく振る舞う」「コミュニケーションを取る」芸人である前に、立派な社会人たれ。そう思っています。サラリーマンになったとしても、そういう人間は愛されると思うのです。

マネージャーは「人を動かす」仕事だからこそ、人間的にまともでないと務まらないと思います。相手の立場になって行動することを心がけさせています。

ほかの職業であれば、もしかしたらその人自身の破天荒さが面白がられ、結果に繋がることがあるかもしれません。ですが、破天荒なマネージャーにタレントは付いていきません。タレントが間違ったことをしたときに説得力のある指摘をするためにも、バランスの良い人間であることが必要であると思います。