通常、脳のワーキングメモリーは必要な情報と必要ではない情報を取捨選択しています。

アルコールを摂取するとその働きが鈍って、普段は捨てられてしまう情報が拾われるようになります。

そのため、これまでになかったような情報の組み合わせ、つまり新しい考えが得られるといわれています。

ほどよいアルコール摂取(缶ビール1~2本くらい)は、クリエイティブ能力を高めるというわけです。

やけ酒に効果はない

ただし、やけ酒は厳禁です。

イヤな出来事があると、それを忘れるためについついアルコールに頼りたくなりますが、実は逆効果なのです。

これを裏付けるのが、「やけ酒をするとイヤな記憶や気持ちがかえって強くなる」という研究結果です。

東京大学大学院薬学系研究所の松木則夫、野村洋両氏は、ネズミに電気ショックを与えたあと、アルコールを注射し、どういう行動になるか調べました。

すると、ネズミは電気ショックについて忘れるどころか、電気ショックの恐怖を強め、臆病になってしまったのです。

写真=iStock.com/Valeriy Volkonskiy
ネズミは臆病になってしまった(※写真はイメージです)

アルコールによってイヤな記憶を忘れるどころか、むしろ強化されてしまったのです。