ハードな筋トレは本当に必要なのだろうか。明治大学の堀田秀吾教授は「イメージトレーニングだけで筋力が24%増加という研究もあり、普通の人は適度な運動で十分だろう。むしろハードな運動はストレスホルモンを増加させるので、追い込みすぎると逆効果になる」という――。(第2回)

※本稿は、堀田修吾『「不安」があなたを強くする』(日刊現代)の一部を再編集したものです。

ジムでの筋トレのためのウェイトとトレーニング機器を使用してフィット女性
写真=iStock.com/recep-bg
ハードな筋トレは本当に必要なのだろうか(※写真はイメージです)

イメージトレーニングだけで筋力が増加した

「イメージトレーニングだけで筋肉は鍛えられる」という驚きのエビデンスがあります。

オハイオ大学のクラークらは、29人のボランティアを募集し、1カ月間手首を整形外科用のギブスで固定してもらいました。

その上で半数に対して、毎日約10分、週5日のペースで、固定された手首の筋肉を曲げるイメージトレーニングを行ってもらいました。

イメトレをしていた半数と、していなかった半数を比較したところ、前者の方が手首の屈筋が強く、サイレント・ピリオド(筋肉が一気に大きな力を出そうとする直前に起きる一瞬の弛緩状態)が短かったのです。

また、カナダのビショップス大学のシャッケルとスタンディングの研究でも、週に5回筋トレを「イメージ」してもらったグループに、24%の筋力の増加が見られたそうです。

ちなみに実際に運動したグループでは28%の筋力増加がみられました。

このように脳と筋肉の間には、われわれの想像を超えるつながりがあります。

頭の中で運動している姿を想像すると、実際の運動と同じように脳が活性化されることがわかっています。

腹筋する時にお腹に意識を集中するのは理にかなっているのです。