アルコールとはどう付き合うべきなのか。明治大学の堀田秀吾教授は「缶ビール1~2杯くらいのほどよい摂取なら酒はクリエイティブ能力を高めるという研究がある。しかし酒は嫌な記憶をかえって強化する恐れもある」という――。(第3回)

※本稿は、堀田修吾『「不安」があなたを強くする』(日刊現代)の一部を再編集したものです。

晩酌程度は悪くないが、やけ酒はやめるべき(※写真はイメージです)
写真=iStock.com/krisanapong detraphiphat
晩酌程度は悪くないが、やけ酒はやめるべき(※写真はイメージです)

ほどよいアルコール摂取はクリエイティブ能力を高める

仕事の後に飲むアルコールはとてもおいしいです。

自分へのご褒美も兼ねてグビグビと飲めば、何ともいえない多幸感に包まれ、気持ちが落ち着くものです。

古来、「酒は百薬の長」といわれますが、先人たちもお酒の有効性を肌身で感じていたのでしょう。

なんでもこの言葉は、『漢書』によれば紀元前からある言葉で、「塩は食べ物の中でもっとも重要。酒はどんな薬よりも効果がある上に、宴会には欠かせない。鉄は農業に必要なものの基本」と書かれていたとか。

古今東西、お酒の魅力は変わらないのでしょう。

興味深いことに、この「酒は百薬の長」に関連する科学的根拠もいくつか存在します。

たとえば、グラーツ大学のベネデックらが70人を対象に行った実験の中に、「飲まないときに創造力が低かった人が、アルコールを摂取すると創造力が特に高まった」という報告があります。

男性40人を、アルコールを摂取したグループと摂取していないグループに分けて、缶ビール1本分程度を飲んだ後に、実務遂行力や創造性を測定するテストをしてもらい、そのスコアを比較。

すると創造性において、飲んだグループが飲んでいないグループよりもスコアが高かったそうです。