日本に電柱は何本ある?
では、調べても簡単に正解が見つからないような問題は、どうやって答えを見つければよいのでしょうか。
こういう問題を解くときに大事なのは、“ムリやり推測する”ことです。
取引先や学校の先生に急に何かを質問されたときに、調べたりせずに、その場でどうやって答えを出そうかと考える力は、社会人になってからもけっこう役に立ちます。
たとえば、会議で急に次のように聞かれたとします。
「日本には電柱が何本あるか?」
あなたなら、どう答えるでしょうか。
おそらく、日本の電柱の数を記憶している人は、ほとんどいないでしょう。
もちろん僕も日本の電柱の数なんて知らないのですが、僕ならまず「電柱は何のためにあるのか」から考えます。
電柱は各家庭に電線を分岐させるために立てられています。それを知っていると、日本の世帯数は約5000万なので電柱の数もおおよそ同じだろうという推測が成り立ちます。
さらに、発電所から街や住宅地まで電線をつなぐための電柱もあるので、それを加えると6000万~7000万本くらいという概算ができます。ただ、マンションなどには1本の電柱で複数の世帯の電気を分岐させているので、今度はその数を差し引くと、ざっくり4000万本くらいかなという推論が成り立つわけです。
実際に調べてみると約3600万本のようなので、おおよそ正解でした。
情報を組み合わせると答えを出せる
このような正確に把握することが難しい数量を、いくつかの手がかりから論理的に概算することを「フェルミ推定」といいます。論理的思考力を試すために、グーグルやマイクロソフトや外資系のコンサルティング会社などの就職面接でも、このフェルミ推定の問題が出されています。
問題解決において情報収集は大事なんですが、調べたとしてもかならずしも答えにたどり着けるわけではありません。
なので、調べてもわからない問題に「どうやって答えを出そうか」と考える力は、問題解決をするうえでも大事です。
これは、答えを知らない問題をどうやって考えるかという能力なんですよね。
じつは、答えを出すための手がかりになる情報は、すでに持っていたりするんです。要は、それをどう組み立てたら答えを出せるかを知らないだけなんです。
そのときに、「この数がわかれば、全体の数もおおよそ出せるよね」と、知識を引っ張り出してムリやり答えを出そうとする訓練をしていくと、推測力はつくようになります。正確な情報をすべて集めることは不可能なので、情報が欠けていても、いくつかの情報から推測できる能力があると、正解に近い答えにたどり着きやすくなります。
これは慣れだったりもするので、ふだんからムリやり推測するクセをつけておくと、知っている情報の組み合わせで正解っぽいものにたどり着けるようになるでしょう。なんでもスマホで調べていると、こうした推測力は伸びにくいので、何か問題を見つけたときにググる前に自分の頭で考える習慣をつけると推測力が育つと思います。