※本稿は、西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)の一部を加筆して再編集したものです。
フランスの大学は授業料タダ
最近では日本で大学を卒業した人のうち、半分ぐらいが奨学金を借りています。海外だと奨学金は給付型が多いので返済しなくてもいいのですが、日本では大半が貸与型なので、要は奨学金という名の教育ローンなんです。
なので、大半の人は大学を卒業したら300万、400万円の借金を負って社会人をスタートすることになります。それに対して、ドイツをはじめヨーロッパの大学は授業料が無料という国が多くて、フランスも授業料は無料で数万円の学籍登録料などを負担するのみです。
そうすると、卒業してから1年ぐらいバックパッカーをして世界中を周ってみたり、好きな仕事に就くためにいろいろな会社にインターンで入ってみたりして、自分に向いている仕事や進路を見つけることができるんですよね。
でも、日本で奨学金を借りた人は、大学を卒業したあとに興味のある分野の勉強をしたくても、借金を返すためにまず働かないといけません。その結果、とりあえず入社できるブラックな企業に入ったり、十数年かけて毎月3万円とかを返し続けることになります。
近年は奨学金を返せない人が増えたり、自己破産する人も出てきて問題が深刻化しています。
ちゃんと大学に通って勉強をしたのに、社会人になったときに数百万円の借金を負ってスタートする日本の奨学金制度は、大きな問題だと思います。
では、どんな解決策があるでしょうか?
無償化するとレジャー大学が生き残る
なかには、すべての大学を無償にすればいいという意見もあります。僕は大学無償化自体には賛成ですが、大学に税金を投入するのは反対です。
大学に行ってちゃんと勉強してお金を稼げる人が増えたほうが、国に納税する金額も大きくなるので、それなら無償にしてどんどん大学に行かせたほうがいいのは当然です。ただ、大学に税金を投入するかたちにすると、学費を払いさえすれば4年間勉強しなくても卒業できるようなFランク大学に、ひたすら国のお金を落とす構造になる可能性があります。
とりあえず名前を書けば入学できて、プールが綺麗なのをウリにしているような大学まで無償化してしまうと、おそらくレジャー施設のような大学が生き残ってしまうんですよね。
大学側は「文化祭に芸能人が来ます」「うちの大学にはクラブがあります」などと教育以外の魅力をつくって学生を集めようとします。人を集めるために留学生という名のもとに日本で出稼ぎを希望する外国人を集めまくって、補助金ビジネスに走る学校も出てくるでしょう。
なので、学校への援助ではなく、努力して成績が優秀な学生に対して援助するかたちにしたほうがいいと思います。