※本稿は、西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
怒っている人をスッキリさせるコツ
僕は若い頃に、いろいろなアルバイトを経験しました。コンビニや中華料理店、スーパーの惣菜売り場、塾の講師、裏ビデオのチラシ配りなど、覚えているだけでも10種類以上あります。
そのうちの一つに、携帯電話会社のコールセンターのバイトがありました。
お客さんからかかってきた故障などのクレームの電話に対応する仕事です。
世の中には、理不尽な言いがかりをつけてくる人や、頭のおかしな主張をする人が一定数いるので、なかにはメンタルをすり減らしながらこの仕事をしている人も少なくないと思います。
僕もかなりの数のクレーム対応をこなしたのですが、クレーム対応はけっこう好きな仕事でした。
僕のクレーム対応は、基本的には2パターンです。
「いかに早く電話を切るか」、もしくは「気を抜いて長電話をするか」です。
まともなお客さんの場合は、質問があって電話してくるので、聞かれたことに対してちゃんと回答します。こちらに原因がある場合は、対処法を決めて作業として遂行すればいいだけです。
面倒なのは、感情的なクレーマーです。ただ怒りたいクレーマーの場合は、ちゃんと向き合う必要はありません。こういうタイプは質問したいことがあるのではなくて、怒りをぶつけたいだけだったり、「電波が届かないから基地局を増やせ」と対応不可能な要求をしてきたりします。
僕はそういう人に対しては、「さようでございます」などと言ったり謝ったりしながら、マンガを読んでいました。
怒っている人の大半は、話を聞いてあげるとスッキリするんです。こちらが何をしているかは電話ではわからないので、僕はひたすらマンガを読みながら、ダラダラと相槌を打っていました。
ダラダラ相槌を打ってオウム返しする
話を聞くときに、僕がよく使ったテクニックは「オウム返し」です。
「なるほど、買ったものが動かなかったんですね」「そうですか、いろいろ試したんですね」などとオウム返しを続けていると、たいていの人はそのうち言うことがなくなっていきます。
あとは、ずっと話をし続けたいのか、上の人間の対応が必要なのかを判断すればいいだけです。
面倒くさい状況になったときは、僕は「上に確認します」と言って電話を保留にしていました。
でも、実際は上司に確認はしません。保留にしている間はマンガなどを読んで、数分たってから「上司に相談したのですが、やはり難しいようです」と応えていました。
それでも終わらないときは、また「上に確認します」と言って再び放っておきます。
当時、時給が1300円だったので、10分間お客を放置してマンガを読んでいるだけで200円もらえたわけです。そのうえ、周りからは「西村さん、クレーマーにつかまって大変そう」と、むしろがんばっていると見られることもありました。
マンガを読めて、お金ももらえて、周りから評価もされるので、クレーム対応はけっこう好きな仕事でした。