千利休が本当に伝えたかったこと

私のお茶室には、毎年30カ国以上の国からお客様がいらしてくださいます。

相席での茶道体験なので、フランス人、アメリカ人、中国人、ロシア人など色々な国の方々が同席されることもあります。

どのお客様も、茶道を体験するという1つの目的を楽しみにいらして下さっているので、お席はいつも和やかです。

それぞれのお国のお話や、日本での観光スポット、美味しいレストランなど、同席した人たちがにこやかに情報交換をされています。

ある日のお茶室で、お客様のしのび笑いが聞こえてきました。

日光にいかれた三人組のアメリカのお客様が三猿の真似をして、楽しかった思い出話をしていたのです。

私もその姿を見て笑ってしまい、お茶室中が笑顔で溢れました。

あれから数年経ちますが、今でもその楽しかった場面を思い出します。

竹田理絵『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(自由国民社)

一つひとつの出会いに感謝をし、同席できたことをお互いに喜んで、おもてなしに感謝し合うことにより心に残る素晴らしいお茶会が整うのです。

茶道というと作法や形のことが頭に浮かびがちですが、利休が大切にしている茶道は全て心についての教えでした。

形だけきちんとしていても、心がなければ本当の茶道ではないということです。

人と人との思いやりや気遣いが何よりも大切ですよ、と説いています。

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