「おもてなし」とは、本来どういう意味なのか。茶道歴40年の茶道家・竹田理絵さんは「千利休が残した茶の湯の7つの心得には、あたりまえのことを実践する難しさが込められている。お茶会で『お先に頂戴します』と人声かけるのも、お互いを思いやり尊重することの大切さからきている」という――。

※本稿は、竹田理絵『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

茶室で茶をたてる女性の手元
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千利休が残した「7つ」の心得の深み

「利休七則」とは、千利休が残した茶の湯の7つの心得です。

茶の湯とはどのような心構えで臨むべきものかを示したものですが、その心得には日々の暮らしやビジネス、生き方の指針においても大きなヒントが隠されているように感じます。

利休七則にまつわる逸話があります。

弟子が「茶の湯の極意とはどのようなものでしょうか?」と尋ねた時に、利休が答えたのが、利休七則です。

それを聞いた弟子は、「それくらいのことなら私でも知っています」と答えたところ、利休は「もしそれができているのなら、私があなたの弟子になりましょう」と返したそうです。

これには知っていることとできることは別物であり、あたりまえのことを実践する難しさが込められています。

理屈や言葉ではわかっていても実際やってみると思い通りにはいかない。おもてなしの奥深さを物語っています。

たった7つの心得ですが、実際に行動するのは簡単なようにみえて難しいものです。

茶の湯は、単にお茶を点てて飲むだけの行為ですが、相手を思いやり、細かな気配りをして万全を尽くすという、そこに人の心を育て、人生を豊かにする、おもてなしの極意があります。

それを説いているのが、利休七則なのです。

コロナ禍で人と人の距離が遠くなり、コミュニケーションが欠落している現在だからこそ、利休七則から新しい生活様式のヒントを見出し、日常生活やビジネスに取り入れていただければと思います。