「一期一会」とはどういう意味か。茶道歴40年の茶道家・竹田理絵さんは「『一期一会』は『一生涯でただ一度の出会い』と解釈している人は多いが、それは少し違う。本来は『人生は一度きり、相手に対して精一杯の誠意を尽くせるか』という茶道の心得を表している」という――。
※本稿は、竹田理絵『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(自由国民社)の一部を再編集したものです。
グローバル社会で「わび・さび」の精神を語ることの意味
現在、グローバル化が進み、世界の人々に向けて日本の文化を語れる力が重要視されていますが、海外の人へ向けて、わび・さびの精神について語ることはできるでしょうか。
何となくわび・さびという言葉から、茶道や古いお茶室、苔むした灯篭や枯山水の庭園などのイメージは浮かびますが、この世界観をはっきりと言葉で説明できる人は少ないかもしれません。
海外のビジネスパーソンたちは、自国の文化や芸術について小さい頃から勉強しており、しっかりと語ることができます。
ですから、自国の文化を語ることができないとがっかりされてしまうことがあります。
こうしたことから日本の美意識について、しっかりと語れるようになっておくことが、これから世界で活躍するためには益々重要になってくるのではないでしょうか。
それでは、いったいわび・さびとはどういう意味なのでしょうか?
わび・さびは、日本特有の美意識で、漢字では「侘び・寂び」と表します。
実はわび・さびは1つの言葉ではなく、「わび」と「さび」というそれぞれ別々の意味があります。