「老害の壁」という同調圧力
これらはほんの一例ですが、実は老害と呼ばれていることのほとんどは、高齢者に対する同調圧力でしかありません。それに従うことで、結果として高齢者は生活や健康、楽しみなどの自由を奪われています。
これを私は「老害の壁」と呼んでいます。この壁を壊さないと、高齢者は長生きできないし、幸せにもなれません。
そこで、今回この言葉をタイトルにした書籍(『老害の壁』)にまとめ、「壁」がどんなに高齢者を苦しめているのかを明らかにし、「壁」を打ち破るヒントをまとめました。
「壁」は壊そう
現代ほど高齢者が生きにくい時代はないでしょう。かつて高齢者は敬われる存在でした。しかし、いまや、「~するな」「家でおとなしくしていろ」と、世間や家族があらゆる面で同調圧力をかけてきます。
言われるままに生活していたら、高齢者にとってはひどい結果にしかなりません。日々の生活における“快”は奪われるし、健康も損われるし、筋肉が落ちて足腰も弱るし、結果的に早死にすることにもなりかねません。
ですから、まずは自分の意思を貫き通すことが大事です。「それをやったら、老害と呼ばれてしまう」などと恐れる必要はありません。高齢者は、老害なんて気にする必要はないのです。老害の壁は「壊すべき壁」です。
それが実現したとき、高齢者のみなさんはもっともっと楽しく、60代後半、70代、80代を元気に過ごすことができるようになるでしょう。
60~70代で脳を使わないと衰える
私が「老害の壁は打ち破るべき」と言う理由はいくつもあります。詳しくは『老害の壁』にあたっていただくとして、その中の1つに「認知症」があります。
年をとったら、前頭葉を含め、脳の老化はある程度避けられません。そこで心配になってくるのが認知症です。フレイルになって寝たきりになるのも怖いですが、なにより認知症になるのが怖いと考えている高齢者が多いでしょう。
認知症の患者数は60代だと約2.5%ぐらいですが、70代から急カーブを描くように増加し、80代では約30%にまで増えます。