「ロシアルーブル」はなぜ暴落しないか

【やすお】なるほど、「インフレ率」「経常収支」「流動性の高さ」。この3つの視点で見るのですね。

【永濱】そういうことです。さらに、この3つをそれぞれ独立させて見るのではなく、総合的に見ることが大切です。

【やすお】トータルで見ると興味深いのが、ロシアルーブルですね。

【永濱】ロシアはインフレ率がとても高いので、それだけ見ると「価値が下がりやすく売られやすい通貨」となります。

永濱利廣『給料が上がらないのは、円安のせいですか?』(PHP研究所)

しかし、エネルギーの輸出によって経常収支は大幅に黒字なんですよね。海外に輸出できる競争力のある材料をたくさん持っている国は強いですし、通貨の価値が下がりにくくなっています。

【やすお】一面だけ見ても本当の実力は測れない! あれだけ経済制裁を受けているのに、「なんで通貨が大暴落しないのか」不思議だったんですが、そういうことだったのか!

【永濱】その他、海外に輸出できる競争力を持っている国といえば、オーストラリアやカナダなどの資源国が強いですね。

オーストラリアは1人あたりGDPが5万2,825米ドル(2021年)。日本の4万704ドルを上回っています。

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