「今の会社の風土はわかっています。この人はここでこう言えば怒るし、こう言えばなびいてくる、とか、この部門のキーマンはこの人……等々、マニュアル化できない組織や人の急所も熟知しています」
そう語るのは、準大手電機メーカーの竹上正文氏(仮名、50歳)。
「新天地で一から人間関係を積み上げるのは大変ですから、今の会社にい続けるつもり。社内の機密情報に他の部署より早く触れるから、仕事のモチベーションは高く保てます」
竹上氏は、今後の会社生活は上司とのコミュニケーションの密度で決まる、と言い切る。
「はっきり言って、上司は好き嫌いで部下の処遇を決めます。悪い意味で目を付けられないことが重要。パワハラの対象にもならないように、適度のコミュニケーションを心がけ、報・連・相を徹底しています」
上司の言うことには“イエスマン”に徹し、まずは「おっしゃるとおり」と受け容れる。上司と昼食を共にしたり、短い時間でもいいから話す場面を多くつくる。あいつはよくやっている、と思わせることが大事だ。
竹上氏は、社内で「最後の職場」と陰口を叩かれた部門に、30代で異動させられた。周囲は病気や左遷で飛ばされてきた50代が大半。現在も、部下は年上ばかりである。
「カラ元気でもいいから、明るく元気に振る舞うことを心がけています。暗くて元気のない人は、やはりリストラの対象になりがち」……単純だが、大切な処世術だろう。