相次ぐ通信障害、失われる「信用」
既存のビジネススタイルからデジタルを活用したビジネススタイルに大転換中の金融業界だが、少子高齢化が「大きな壁」となって立ちはだかりそうである。
金融機関の最大の資産は「信用力」である。しかしながら、金融各社にはデジタル化に後れを取っているところが少なくない。メガバンクでさえ、いまだに通信障害が発生してATMが何時間も利用できないといったトラブルを頻繁に起こしている。
今後、「信用力」を勝ち取りながら多様なサービスをインターネットサービスとして展開していくならば、より強固で安定的なデジタル基盤の整備が必須となる。
それには、先端IT人材が必要となるためメガバンクのみならず、地方銀行や証券会社、生命保険会社、損害保険会社といった金融業界全体でこうした人材の争奪戦がすでに激化している。
2030年にはIT人材は78万人不足する
だが、先端IT技術を扱える人材がそんなに簡単に育つはずがない。しかも少子化で若い世代は急速に減ってきているので、金融各社が求める人数を計画通りに確保できるとは考え難い。
経産省などの「IT人材需給に関する調査」(2019年)が厳しい将来像を示している。
IT人材は2018年の103万1538人から2030年には113万3049人にまで増えるものの、この年に想定される需要を満たすには44万8596人足りないと見積もっているのだ。もしIT需要が想定される中で最も大きくなれば、最大約78万7000人不足するとしている。