日常生活に少しの変化を加えて刺激を与える

会社に勤めていたころは、好奇心とは関係なく、毎日の仕事がある。ぼんやりとしてばかりもいられなかった。

ところが、定年後、会社に行かなくてもよくなると、外出することもどんどん少なくなり、日々の買い物に行く以外は、終日、家でぼんやりしていることが多くなる。

これが若者なら、完全な引きこもりだ。

中高年になってからの引きこもりは、いっそう前頭葉の機能を低下させるため、寿命を縮めてしまうこともある。この段階から、ハラハラ、ドキドキさせるようなレベルにまで回復させるのは、とても困難である。

だからこそ、感情が老化をはじめる40代から、仕事や子育てにかわって刺激を与えてくれる対象を探したり、いろいろと試したりしていかないと、手遅れになりかねないのだ。

とはいえ、なにをしたらいいかわからないというのが現実ではないだろうか。

中高年は、ただでさえ刺激に慣れっこになっている。なにを見ても、先が読めてしまうというか、自分の知識と経験が邪魔をして、新鮮味を感じなくなっている。よほど意識して刺激を求めないと、多少のことでは感動しない。

刺激をもたらしてくれるのは、好奇心である。

たとえば手近なところでは、いつもの通勤ルートを変えてみるとか、一つ手前の駅で降りて歩いてみるとか、基本的に同じことのくり返しである日常に、いつもと異なった行動をとって変化をつけてみよう。

普段ほとんど買い物に行かない街やデパート、若者向けのショップに入ってみたり、新聞に書いてある演劇やコンサート、講演会のチケットを買って実際に行ってみよう。

とりあえずなんでもやってみる

年をとれば、アイディアや仮説が思い浮かびにくくなる。ものごとを決めつけ、常識や定説を疑うことができなくなったりする。

思考が鈍くなったら、とりあえず、なんでもやってみることだ。というのも、なにごとも、やってみないとわからない、あるいは、やってみてわかることがたくさんあるからだ。

もちろん、いつもうまくいくとはかぎらない。むしろ、失敗することのほうが多いかもしれない。しかし、だからといって、なにもしないでいたら、なにもはじまらない。

なにはともあれ、まずやってみることによって、前頭葉が刺激され、好奇心や意欲が生まれてくる。その中から新しいアイディアも誕生してくる。