※本稿は、和田秀樹『70歳80歳を笑顔で超える生き方』(さくら舎)の一部を再編集したものです。
ドラマ「水戸黄門」ばかり見ていると老化が進む
若いころから前頭葉型思考をしてきた人にとっては、ある種の快感体験になるのかもしれないが、前頭葉をあまり使わない生活をしてきた人にとっては、想定外の突発事項が次々に起こるのはしんどいものである。
まして、年をとってくると、ただでさえ前頭葉を使うことがめんどうになってくる。それがストレスになると、うつになることもある。
だから、むしろ40代のころから、女性でも男性でも前頭葉を使うくせをつけておくのがよい。
子どもが大きくなるまでは家庭にトラブルを起こしたくないのであれば、疑似恋愛でもいい。ただの追っかけでは、あまりに知恵がない。やはり、相手を動かすことで双方向の関係を築き、思い出に残る出来事をつくっていったほうがおもしろい。
テレビドラマの「水戸黄門」やシリーズものの2時間ドラマが年寄りじみているのは、結論が見えているからである。結論が見えている番組は、見ていても安心感がある。一種の心地よさというものがある。
だが、小説でも映画・テレビでも、先が読めるものに安住していると、老化は進む一方だ。
知識よりも考え方の面白さが評価される時代
アメリカの映画は、筋書きが読めないものが多い。そこで、ハラハラ、ドキドキさせられるわけだが、日本映画と違って、脚本を一人でなく、大勢で書いているからだろう。
韓国では文化輸出をしたくて、映画に対しても国が奨励金を出している。しかし、日本の場合、はなから外国では売れなくてもいいと思っているから、テレビをそのまま映画にし、キャスティングまで同じという作品が少なくない。これでは、外国人から見て魅力的な映画などつくれるわけがない。
国の文化面で、このような状況がつづけば、社会全体が老化していくことになるだろう。
いまでは、ただ知識をたくさんもっているだけの文化人では、評価されない。ネットを検索すれば、同じような答えはいくらでも引き出すことができる。物知り型の知識人より、考え方のおもしろさのほうが高く評価される時代なのだ。