「遺伝子組み換えジャガイモ」知らずに食べている可能性も

外食産業でこの遺伝子組み換えジャガイモが利用されていても、日本では、遺伝子組み換え表示の義務がない。

従って、消費者は遺伝子組み換えジャガイモであると気づかないまま、食べてしまっている可能性がある。外食では遺伝子組み換え食品を選択的に避けることができないのだ。

写真=iStock.com/bulentumut
「遺伝子組み換えジャガイモ」知らずに食べている可能性も(※写真はイメージです)

現状、国内メーカーや外食チェーンで採用する動きはない。

遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」が公開質問状を送ったところ、ポテトチップスメーカーや多くの大手外食チェーンは、遺伝子組み換えジャガイモを使うつもりはないと回答している。

とはいえ、今後どこかで使われる可能性は当然あるだろう。

もちろん、アメリカで加工されたフライドポテトは日本に入ってきている。

2021年4月から、日米貿易協定に基づき、冷凍フライドポテトの関税撤廃が行われた。こうした加工食品の原料として、遺伝子組み換えジャガイモが使われている可能性がある。

ジャガイモ問題で頑張った官僚は左遷

このように、ジャガイモの安全性は、量と質の両面で崩されてきている。

日本の食品輸入規制の緩和は随時進められていることに注意しなくてはならない。

鈴木宣弘『世界で最初に飢えるのは日本』(講談社+α新書)

ジャガイモについては、これまで長いあいだ、輸入を迫るアメリカとの間で、攻防が繰り広げられてきた。

筆者としては、むしろ、ここまでよく踏みとどまってきた、という感すらある。

ある農水省OBからは「歴代の植物防疫ぼうえき課長の中で、ジャガイモ問題で頑張った方が、左遷させんされたのを見てきた」という話を聞いたことがある。

ジャガイモが持ちこたえられたのは、我が身を犠牲ぎせいにしても、食の安全を守ろうとした人たちのおかげでもある。

しかし、残念ながら、米国の要求リストを拒否するという選択肢は、日本には残されていないかのようだ。

要求リストの中から、今年応じるものを選ぶだけ、いわばアメリカに差し出す順番を考えるだけで、ズルズルなし崩し的に要求に応じる外交が続けられている。

そんな外交を続けていては、国民生活が持たないだろう。

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