時短社員の事情は織り込み済み。フルタイム社員とのトラブルもなし
通常の業務ではグループ会社であるオデッセイのプロジェクトの一員として働くため、チーム内にはオデッセイ所属のフルタイム社員とライフ&ワークス所属の時短社員が混在する。現場では“フルタイムVS.時短”の確執はないのだろうか。
子育てに注力するために、エージェント経由でライフ&ワークスに転職したSAPコンサルタントの佐伯哲也さんは、「時短はもちろん、フルリモートが転職の必須条件でした。そんな都合のいい会社はあるわけないと半ばあきらめかけていましたが、エージェントに『こんな会社がありますよ』と紹介されました。面接を受けたところ求人条件に相違はなく、すぐに決めました」と語る。会社側の条件であるからこそ、時短で働くこと、フルタイムの人より早く終業することに、後ろめたさはまったく感じていないという。
「プロジェクトは、時短社員の事情や条件が織り込み済で計画されています。担当業務がこなせていれば、フルタイムのメンバーに迷惑をかけていると思う必要はないです。進捗の遅れなど、ハプニングがあった場合も、協力して吸収する努力はしますが、時短ですからこちらの働く時間は増やせない、ときにはプロジェクトとしてリカバリーするために10やりたいところ7しかできないこともあり、納期をお客様に相談することも選択肢に上がります。仕事だから何がなんでもやれ、ということにはならない、そこがこれまでの職場との違いですね」(佐伯さん)
「時間制限ハンデ」が普通なら、精神的にも安定する
フルリモートで滅多に出社しないとなると、社内のコミュニケーション不足が課題になりそうだ。しかしその点は、時短という属性が揃っていることが功を奏し、かえって密になるという。自然発生的に開催されるオンラインのランチ会などで、子育てについての相談をしたり、先輩の経験談を聞いたりする機会が得難いと、執行役員の菅さんは日々実感するそうだ。
「同じ仕事で、似た境遇の人が集まるコミュニティーがあり、コミュニケーションが取れるのもこの会社のよさです。経験を共有できる相手になら、悩みも真剣に打ち明けられます。女性のロールモデルが豊富だと若い人も安心して子どもを産めますね。職場に子育てをしている人が少ないと、マタニティーハラスメントなど、つらい目に合うこともありますから。わが社は定着率が高いのですが、それにはコミュニティーの力も大きいと思います」(菅さん)
企業では「多様性」が重視され、さまざまな社員が混在するのは当たり前の時代となった。しかし、マイノリティや、事情により働き方に制限がある人の本音は「混在するからこそ、精神的負担が大きい」という声もある。特に時短では、自分の仕事を誰かに補ってもらう、仕事の途中で帰ることに引け目を感じる、など悩みは尽きない。そんな中「働き方に制限がある人だけ」の会社であれば、「時間制限のハンデがあるのが普通」だから、誰に負い目を感じることなく仕事ができる。
「転職してから、時短だからとできないことを数えるより、できることをアピールすることの大切さに気づきました。制限を抱えた社員だけの会社なので、お互いが協力し合うことへのハードルは無いに等しい。マネジメントの立場として、みんながもっと働きやすくなるよう協力していきたい」(田中さん)
働き方への意識はここ数年激変しているが、自分のライフスタイルを中心に働き方を選択できる人はまだまだ少数派だ。これからもっと多くの迷えるワーキングママやパパがライフ&ワークスのような会社と出合い、望むキャリアを実現すれば「時短で正社員」が普通になる日もそう遠くはないだろう。