人生の目的がお金の使い方に表れる

それは、「ライフ・パーパス(Life Purpose)」。日本語に訳すと、「人生の目的」。

モナコの人たちは、男女問わず、人生の目的がはっきりしています。

そのため彼らはいつも自信を持ち、希望に満ちあふれ、人生を楽しんでいます。彼らは、ライフ・パーパスを誰かに決めてもらうようなことはしません。子どもから大人まで、やりたいこと、好きなこと、心を傾けたいことは、すべて自分で決めています。

筆者提供

ライフ・パーパスが決まっている人には、「お金の使い方」にもブレがありません。私は、お金の使い方には、その人の生き様が表れることを、彼らから日々学んでいます。

だから、モナコで暮らして5年が経った今は、彼のアドバイスの意味がよくわかります。私の気ままなショッピングを戒めていたわけでも、無駄遣いを責めていたわけでもありません。

彼のライフ・パーパスは「人からの信頼を得る」ということでした。

「信頼関係を築くためには、たった一つの『お気に入りのお店』『信頼しているお店』で買い物をしたほうが、関係が深まるんだ。そして、その信頼関係が、あなたをもう一つ上のステージへ、つまり、『人生の目的』が満たされた豊かなステージへ引き上げてくれるんだよ」

お金について何も知らなかった私は、「人生の目的」がお金の使い方に表れるということを、彼の言葉から学んでいくことになりました。

「お金」より「信頼」の方が価値は高い

お金は単純で、使えばなくなりますし、仕事をすれば手に入ります。また、不運に見舞われて一瞬にして失うこともあれば、幸運に恵まれて増えることもあります。

お金はずっと手元に留まるものではなく、出ていったり、入ってきたりするものです。

一方、コツコツと築き上げた「信頼関係」は、よほどのことがない限り崩れません。

また、その信頼関係の数が多ければ多いほど、「何があっても大丈夫」と安心して生きていくことができます。困ったとき、窮地に陥ったときに、信頼関係で結ばれた人がたくさんいれば、救いの手はそのぶんだけ多く伸びてくるからです。