スマホの登場でさらに首の負担が増加

このストレートネック、最近ではスマホ首とも呼ばれています。

ここ10年ほどで、街中でも駅でも電車の中でも、誰も彼もスマホを見ている光景がポピュラーになりましたが、このスマホを見る姿勢が首には大問題。首は体重の約10%と言われる頭の重さを支えていて、前傾が大きくなるごとに負荷が増えていくのです。

美味しい新米を思い浮かべてください。私たちは普段から、体重が50キロの方なら5キロの新米の袋を頭に持っているようなもの。非常に重い。

それが30度の傾きをずっと続けていると、首のつけ根に約3倍の重さが加わってくる。首の後ろ側の筋肉がめちゃくちゃ頑張って悲鳴を上げているような状態なのです。年齢にかかわらず、というより、むしろ長時間スマホを見続ける若者のほうが、リスクが大きいと言えるかもしれません。

イラスト=さかもとすみよ
首の角度と負荷の関係

首に重さがかかる、ということは、首を支える肩甲骨にも負荷がかかり、肩甲骨まわりの筋肉がガチガチに硬直し、動きが悪くなります。肩が内側に入り、背中が丸くなり、肩こり、首こりは言うまでもなく、頭痛やめまい、目の痛みなどの愁訴も。もしかするとブルーライトより体に与える悪影響が大きいかもしれません。

そしてこの姿勢を何年、何十年と続けた先のことを考えてみてください。首の後ろの筋肉が緊張したまま固まるとどうなるか。整形外科には、首を上げられずに苦しむ「首下がり」という症状の患者さんが多くいらっしゃいます。

70歳以降の人に多く見られますが、早い人では50代から兆候が現れることも。今ならまだ間に合います。スマホを見ている間、首にどれだけ負荷がかかっているかを知ったら、視聴時間を減らすとともに、体のメンテナンスを始めましょう。

姿勢を維持するための筋肉」は固まりやすい

私たちの体には、動くための筋肉と、姿勢を維持する筋肉とがあります。姿勢を維持するための筋肉は、意識をしないとなかなか動かしにくいもの。うっかり何時間も同じ姿勢を続けていると、姿勢を維持する筋肉の不動化が起こり、そこに酸素が十分行かなくなって不調が生じるのです。