よい姿勢であっても動かないことがダメージ
根本的に動物というのは、植物と違って弁構造が発達していないので、長時間同じ姿勢でいると、下の部分に水が溜まってしまう性質があります。
たとえよい姿勢であろうと、立っていても、座っていても、寝ている時も、動かないことのダメージのほうがとにかく大きい。どんな椅子が体にいいのか、どんなマットレスが体にいいか、という質問をよくいただきますが、体を動かしやすいもの、というのが正解です。
特に睡眠中は、スムーズに寝返りが打てることが優先順位の一番。寝返りを打たなければ、体重がかかる部分がむくんでしまうので、朝起きた時に、寝違えやぎっくり腰にもなりやすいのです。
たとえば、働き盛りの男性が一日のハードワークを終えて、そのあとお酒を大量に飲んで気絶するように爆睡することがありますよね。爆睡すると寝返りを打てなくなります。
寝返りというのは、同じ姿勢をしていると体がだるくなってくるので、それを自然に防御するための人間の素晴らしい反応なのですが、睡眠導入剤を使用していたり、お酒を大量に飲んだり、疲労が強くなったりすると、寝返りが打てなくなって、むくみや腰痛が起こる、というわけです。
むくみは筋肉のなめらかさを低下させる
軽視されがちなむくみも、侮ってはいけません。
体がむくむと、前回の記事で説明した「ファシア」という筋肉と筋肉の間の“ゆるゆる組織”の動きが悪くなり、筋肉同士のなめらかさが低下します。その結果、ぎっくり腰や首の寝違えを引き起こしやすくなる。
ファシアの異変はレントゲンやMRIに写らないし、残念ながら圧迫がない痛みに関しては勉強不足の医師もいるので、患者さんに十分説明できていないことが多い。だから、何が起こって痛みを引き起こしているのか、どうしたらいいか、が皆さんに伝わらないのです。