※本稿は、遠藤健司『完全版 自律神経が整う 肩甲骨はがし』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
自律神経の乱れは肩こり、首こりに関係している
だるい、やる気が出ない、イライラ、過食、寝つきが悪く眠りが浅い、頭が痛い、眼精疲労、めまい、耳鳴り、冷え……。一つひとつは「不調」で片づけることができたとしても、それらが慢性化して深刻になれば、免疫機能の低下やうつ症状にも繋がります。
仕事にも支障をきたすくらいつらくて病院に行って検査をしても、これといった異常は見当たらず、仕方がないからビタミン剤や市販薬でとりあえずその場をしのぐ。そんな病名のつかない不調に共通するのが「自律神経の乱れ」です。
自律神経は、内臓を始めとする各組織の反応に関わる神経で、背骨まわりに集中しています。
アクセルにたとえられる「交感神経」とブレーキにたとえられる「副交感神経」の2種類で成り立っていて、この二つの神経はそれぞれバランスをとりながら、内臓や組織の働きをコントロールしているのです。自律神経が乱れて、どちらか一方が過剰に刺激されたり、極端に優位になったりしてバランスを崩すと、心と体の思わぬところに不具合が生じる、というわけです。でも自律神経の乱れは、検査や数値では測ることができません。
なぜ、整形外科医である私が自律神経のアンバランスに目を向けるのか。
意外に思うかもしれませんが、実は、自律神経の乱れには、脳に近い首こり、肩こりが関連しているのです。上半身を支えている背骨のまわりには自律神経があるというのがその理由です。
肩こりと精神的ストレスの合併を調べたテストでは、両者はかなり高いレベルで一致することが証明されています。
肩こりがない人で精神的ストレスを感じている人の割合は10%程度ですが、軽い肩こりがある人では55%、重度の肩こりがある人では90%を超えています。この結果からはどちらが先に発症したかはわかりませんが、にわとりと卵のような関係と言えるのではないでしょうか。