肩こり解消の鍵は肩甲骨

そんな肩こり、首こりの仕組みを解明する鍵が、肩甲骨にあるのです。慢性的に肩こりに悩んでいる方は、いいと言われた“もの”や“こと”を試し、マッサージや整体に通い、長い間試行錯誤されて、体質だからと諦めてしまっている場合も多いでしょう。

でも、正しくセルフケアをすれば、かなり高い確率でこりを軽減できると私はあえて断言します。

肩や首だけを刺激しても一時的に楽になった気がするだけ。狙うべきターゲットは、肩や首を支える肩甲骨なのです。

生活習慣の改善や運動習慣で肩甲骨まわりが柔軟になり、スムーズに動けば、上半身の血流が促され、肩や首が楽に動き、自律神経も整いやすくなります。そして自律神経のバランスが安定すると、首や肩もほぐれやすいという相互作用も。頭や心を含めた上半身の自由度の鍵を握っているのは、肩甲骨なのです。

肩甲骨は上半身における「骨盤」の役割

さて、骨盤が人間の土台、という話はどこかで耳にしたことがあると思います。

では肩甲骨はどうかというと、四足動物にとっては人間の骨盤と同様の働きがあります。歩くため、動くための土台となり、体重を支える前足(腕)をコントロールする重要な存在で、たくさん走る、速く走るために、肩甲骨を大きく動かす必要があるのです。

これを二足歩行の人間に置き換えると、肩甲骨が全身の土台、とまでは言えませんが、上半身の動きをコントロールする司令塔的な役割を担っていることになります。肩甲骨の動きがいい人は手が自由に大きく動き、肩甲骨の動きが悪い人は手が上がりにくい理由がわかると思います。

動物繋がりでもう一つ。人間同様鎖骨がある動物は、猿、猫、熊、リス、鳥、こうもりなど。鎖骨がないのは、ライオン、犬、馬、象、アライグマなど。鎖骨がない動物は、肩甲骨が胸郭にがっしり固定されています。両者にはどんな違いがあるかわかりますか?

腕を器用に使え、木に登れるかどうか、です。

写真=iStock.com/オランウータン
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※写真はイメージです

鎖骨と肩甲骨の関係は、腕を上に伸ばした時に、肩甲骨があまり前にこないように、鎖骨がつっかい棒になっているわけです。前後の動きだけで速く走るためなら鎖骨はいりませんが、腕が360度の動きをするためには、鎖骨がないと安定しません。鎖骨というブレーキがあるおかげで、肩甲骨を360度自由に動かせる。だから腕を器用に使う動物には鎖骨があるのです。私たち人間も、腕を自由自在に操りたいのであれば、肩甲骨にフォーカスすることが必要なのです。