ストレスを感じると痛みを強く感じる

肩こりが普通の筋肉痛と違うのは、自律神経障害が大きく関与しているということ。この現象は腰痛にはあまり見られません。

まず注目したいのは、精神的ストレスが蓄積すると、実際の痛みの状態よりもさらに首や肩の不快感、違和感が強くなってしまう疼痛とうつう感作。脳が過敏に反応してしまうので、本来2の痛みが8にも9にも感じられてしまうのです。

精神的ストレスにさらされると、交感神経が過度に刺激され筋肉の緊張が強くなってしまうので、首の後ろや肩のまわりの痛み・こりとなって現れるケースもあります。

落ち込んだ姿勢が肩こり・首こりにつながる

そしてもう一つ気を付けたいのは、ストレスと姿勢の相関関係です。

プレッシャーを受けたりつらいことが続いたりすると、どうしても伏し目がちになり、顔が下を向きやすくなりますよね。その結果、背中が丸くなり、僧帽筋に負担がかかり、肩こりを起こしやすくなる、という物理的な原因もあなどれないのです。

逆に、首から自律神経に悪影響を及ぼしてしまうケースもあります。

スマホ、パソコンの長時間使用やストレスで背中が丸くなって肩甲骨の動きが悪くなり僧帽筋が固まると、首の筋肉が緊張します。

首の筋肉というのは、重力を感知して体のバランスを整える「前庭神経」がある脳幹のうかんに繋がっています。脳幹というのは、三叉神経や目の神経を司つかさどる自律神経の大本おおもとです。つまり首がこるということが自律神経の乱れに直結しているのです。

頭蓋骨と首の筋肉の関係
イラスト=さかもとすみよ
頭蓋骨と首の筋肉の関係

また肩こり、首こりというのは、めまいや頭痛、目の痛みにも関係しています。

体が斜めになっても、脳はまっすぐの状態を保てるのは前庭神経の働きのおかげです。この神経があるから私たちは転ばないでいられるし、三半規管の調整もしていられる、いわば「バランス感覚の司令塔」のような存在です。肩や首の痛みは、その前庭神経にも作用してしまうので、めまいや頭痛、目の痛みに発展してしまうのです。

首の筋肉が異常に緊張し、それが前庭神経に影響するというのは、自律神経にとっては思った以上に深刻なことなのです。