すでに進む大変化
さまざまなスキルを持ったメンバーがチームを作る際には、社内のみ、正社員のみ、都市部のみ、日本のみといった「壁」は打破されます。テクノロジーの進展で、誰でもどこでもインターネットに接続できるようになり、Zoomがあれば即座に集まることができます。
社内の英知だけで解決できなければ、他社のメンバーと連携していけばよいのです。リモートワークで共同作業ができれば、オフィスに通勤できる都市部のメンバーだけでチームを組む必要もありません。特殊能力を持っていれば、正社員でなくても、契約社員や個人事業主(フリーランス)でも構いません。
さらに、自動翻訳の技術がどんどん進化しています。多言語を使いこなせるようになれば、世界各地のメンバーとつながることができます。
オフィスに出社しない宮崎の開発チームが、北海道の営業担当やパリのコンサルタントとつながり、自動翻訳を通じて新商品の開発についてディスカッションする、というような世界観です。社内のクローズド(閉ざされた)な環境ではなく、オープン(開放された)な世界で活動していく。
さまざまな壁がなくなったボーダーレスな環境で、多様な能力が絡み合い、従来経験したことのない解決策、つまりイノベーションを生み出すような働き方へと大きく変化していきます。
私自身、この大きな変化の只中を生きていますし、次代を担う20代、30代は、キャリアのスタートからそれが当たり前の世界を生きるようになる。まずはその事実を知ってください。
今後のキャリアアップはRPG化する
このような社会の変化を踏まえ、私は、これからのキャリア構築は「ロールプレイング(RPG)型」になると考えています。
自分が目指すキャリアゴールに向けて何をすべきか、オープンワールドの“冒険”の旅を続けながら、自分自身で探索していきます。
そして、自発的に学習することによって、単純にレベルアップするだけでなく、勇者だったところから、次は魔術師になるといった“転職”も通じて、スキルの複線化が実現できます。
どんどん転職を重ねて、学習し続けることで、キャリアが多様化する──このスタイルはまさしくRPGに似ていると思います。今後のキャリア構築は、積み重ねるラダー型(階段型)ではなくて、こうしたRPG型になっていくと確信しています。
そして“働く環境”それ自体も、国境や言語の壁がなくなり、オープンワールド化していきます。思うがまま、どこにでも行ける広大なフィールドの中を動き回り、みずから探索し、課題を設定し、転職や学習などに自律的に取り組むことが求められるようになるのです。