AI時代、働き方はどう変わっていくのか。クロスリバー代表の越川慎司さんは「定型業務は完全自動化され、働き方の大変化が生じる。より早く新しいモデルに移行できたビジネスパーソンと、旧態依然のままの人にはけっして埋まらない差が生じる」という──。(第3回/全5回)

※本稿は、越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

労働集約型の働き方は終了

2020年に中小企業が労働基準法改正(残業抑制)の適用対象となり、その時点で除外された業種(建設業と物流業など)へもいよいよ2024年に適用されます。法律をおかしてまで残業を続けることはないでしょうから、「長時間労働を抑制する」という1つの指標は達成に近づくでしょう。

しかし、テクノロジーを駆使した業務効率化を進めたり、人を集めて売り上げを伸ばすような労働集約型のビジネスモデルを改めたりしない限り、今後は会社の利益を伸ばし続けることができません。

限られた時間で成果を出し続けるには、労働時間といった量の改革ではなく、労働によって生み出される価値の向上といった質の改善が求められます。

向かい合って立っている二人のビジネスマン
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「アベンジャーズ化」するビジネスの未来

価値を生み出すのは、顧客や社会の課題解決です。しかし、その課題があまりにも複雑になり、一個人や1つの会社で解決することが難しくなってきました。

そうなると、必要な能力を持った人たちがプロジェクト型で結集し、1つのチームとして取り組んでいく方式が主流となっていきます。

たとえるなら、米国映画『アベンジャーズ』のようなものです。メンバーの強み弱みを掛け合わせたチームが巨大な敵を倒していく、それと同じです。効率化してじっくり個人で能力を磨いていくのではなく、自分の弱みを補完してくれるメンバーを仲間にして、課題解決に当たるのです。

より多くの課題を解決していくには、こうした各個人が持つスキルの組み合わせが不可欠になっていきます。