テクノロジーによる「人間の補完」

こうした変化をテクノロジーの進化が促進します。

越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)
越川慎司『29歳の教科書』(プレジデント社)

2022年1月の世界経済フォーラムでは、「テクノロジーによる労働力の拡張」という報告書を発表しています。テクノロジーによる人間の補完を一段と加速させる必要があると主張しているのです。

営業や人事や経理といった職種を含むホワイトワーカーにとって、最も影響があるのは「RPA」というツールでしょう。これは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の頭文字を取った略語で、定型業務を自動化するものです。

たとえば、インターネットで必要な情報を収集・統合してシステムへ入力するという作業や、財務レポートの作成など、標準化された業務プロセスを自動的に行うこと、さらには過去のやりとりを学習して、顧客からの問い合わせなどに対応することもできます。

広がるデジタル・レイバー

米マッキンゼー・グローバル研究所の調査では、2025年までに全世界で1億人以上の仕事がRPAなどの自動化ツールによって置き換わるとしています。

RPAのようなツールは、テクノロジーとしてではなく、「デジタル・レイバー」、つまり、人間に代わる新たな機械の労働力と捉えて最適な業務に配置し、企業が戦略的に導入すべきものとなりました。そして、人間はAIに代替できない非定型業務を行うことになっていきます。

その一方で、いままでにないようなイベントを企画したり、データの分析方針を決めたり、見解の異なる人を説得して協働作業したりすることが「人間の仕事」になっていきます。