知っておきたい「尿が出る仕組み」

私たちの尿は、背中側にある左右2つの腎臓で作られています。全身をめぐって老廃物や不要なものを多く含んだ血液は、腎臓の大動脈という太い血管から腎動脈へと流れ込み、さらに腎臓の中で枝分かれした細い血管を通り、最終的にはふるいのような役割を持つネフロンと呼ばれる組織でされ、きれいになって再び腎静脈から出ていき、全身を循環します。

このネフロンはなんと左右の腎臓にそれぞれ100万個以上ずつもあり、これによって漉されてできるのが「原尿」です。原尿には不要な老廃物と、必要な成分(水分、アミノ酸、糖分、ナトリウムなど)の両方が含まれていて、必要なものだけが血液に再吸収され、残りが尿になります。尿の量は、脳にある下垂体という部分から分泌される抗利尿ホルモン(バゾプレッシン)によって濃縮されることで調節されます。

その後、尿は筋肉でできた尿管を通って、膀胱へ移動してたまります。そうして量がいっぱいになると、神経を通して脳へ排尿が必要だという知らせである「尿意」が伝わり、膀胱括約筋を開いて膀胱壁を収縮させ、膀胱から尿を尿道に流すのです。

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トイレトレーニングは2〜4歳が最適

子供が頻繁に排尿する主な理由は、①前述した尿を濃縮する抗利尿ホルモンの分泌が少ないことから薄い尿がたくさんできるため、②尿をためる膀胱が小さいことによって、すぐにいっぱいになって漏れ出るためです。

こうした小さい子供の排尿は「反射的排尿」と呼ばれます。大人やある程度以上の年齢の子供のように膀胱の充満を知覚し、排尿していい場所へ行き、膀胱括約筋を開いて膀胱壁を収縮させて排尿するのではなく、尿ができてある程度たまったら出てしまうということです。排尿回数は、新生児期は1日15〜20回、1歳前後は8〜12回、2〜4歳になると1日8回ほどです。

ただ、2〜4歳になると、膀胱が充満したという知覚が脳に伝達されるようになるので周囲に尿意を知らせたり、誘導されればトイレで排尿できたりします。4〜5歳になると尿意を認識し、自分でトイレに行けるようになる子がほとんどです。

なお、健康な乳幼児46人を調査した結果、日中の尿失禁(おもらし)は、3歳6カ月(中央値)で消失するという論文があります(※1)。昼間の尿失禁が消失する割合は、3歳で52%、4歳で93%、5歳で100%でした。やはり3歳までにトイレトレーニングを始め、1〜2年間のうちに自然とおむつが外れ、遅くとも5歳までにトイレで排尿するようになるというのが妥当ですね。トイレトレーニングも焦る必要はないのです。

※1 Jansson UB, Hanson M, Sillén U, et al. Voiding Pattern and Acquisition of Bladder Control from birth to age 6 years. J Urol. 2005; 174: 289-93.