人に頼るのは難しくない

さて、ここまで「誰かに頼って欲しい」とお話ししてきましたが、僕自身も、子どもの頃からずっと人に頼ることができませんでした。現実的に、周囲には頼れる大人が誰もいなかったし、友達に頼るという発想がなかったということもあります。

しかし幸運にもF先生(高校時代の担任)に出会い、日々の生活や進路について相談してみて、僕は気づきました。「人に頼るのは、そんなに難しいことじゃないんだな」と。

最初から、100%何でもさらけ出せたわけではありません。でも、ぎこちないながらも少しずつ正直な気持ちを吐き出してみたら、先生はすべて受け止めてくれました。そこに、「こうやらなければいけない」というルールはまったくありませんでした。

だから、あなたが誰かに頼るときも、自分なりの方法でいいのです。

頼る前に、頭のなかで「こう思われたらどうしよう」と、あれこれシミュレーションする必要もありません。自分の気持ちを、ただ正直に伝えればいいだけです。どんな気持ちであっても、受け止めてくれる相手は必ずいます。

話すだけで心が軽くなる

「あなたのいばしょ」でも、相談するスタイルに何のルールもありません。

最初に、ニックネーム(自分が呼んで欲しい名前)や年齢などは書いてもらいますが、チャットを始めたら、相談したいことやそのときに感じている気持ちを何でもいいので自由に話してもらいます。

そうやって、自分の抱えている苦しさや悩みを人に話すだけで、起きている事実は変わらなくても、「心がスッキリしました」と言う方が大勢います。

なぜ、人に話しただけでそんな変化が起きるのでしょうか。それは、何の決まりも気兼ねもなく、自分の本心をありのままにさらけ出せたからです。そして、その思いを受け止めてもらったからです。

多くの相談窓口が「あなたのいばしょ」のように、誰でも安心して相談できる体制を整えています。もちろん、周りに悩みを話せる人がいればぜひ頼って欲しいのですが、誰も心当たりが浮かばないときは、僕たちのような存在も思い出してください。

漠然としていてもかまわない

これはとても大事なことですが、相談内容が漠然としていても、自分が苦しい理由がはっきりわからなくても問題ありません。

「なぜか理由はわからないけれど、生きるのがしんどい」
「大きな問題はないのに、毎日がつらくて死を思ってしまう」

そう感じるのであれば、我慢せずに誰かに頼ってください。

話の内容や文章が整っている必要もないし、文脈がつながっていなくても大丈夫です。「あなたのいばしょ」でも、ただ「苦しい」「つらい」と、自分の気持ちをつぶやくだけの方もいます。