※本稿は、加藤俊徳『脳の名医が教える すごい自己肯定感』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
SNSやインターネットは脳科学的に不健全
新型コロナの蔓延で、このところめっきり外に出る機会が減ったという人は多いのではないでしょうか?
「おうち時間」が増え、SNSやインターネットを活用する時間が増えています。
情報ツールが発達し、さまざまなコンテンツが普及しています。
TwitterやLINE、YouTubeやTikTokを見たり、Zoomなどでリモート飲み会など、「おうち時間」をむしろ楽しんでいるという人もいるでしょう。
ただし、脳科学的に見ると、そこに一つの落とし穴があることを指摘しておかねばなりません。
それは、情報が文字や写真、動画といった2次元のものばかりになってしまうことです。
あらゆる情報がいまやスマホやパソコンの画面を通じて入ってきます。しかも自宅の椅子やソファーに座って、端末を操作するだけです。
じつはこのような状況は、脳科学的には、決して健全だとは言えません。
知識はあるのに自信はない人の特徴
というのも、2次元情報というのは文字や画像によって得たものです。このような体験を「知識経験」と呼んでいます。
一方、体を動かし、実際に何かを体感して得た経験を「体感経験」と呼びます。皮膚感覚など、五感をフル回転させて得た経験です。SNSやインターネットの発達で、端末情報ばかりになってしまった私たちは、「知識経験」ばかりが肥大して、「体感経験」が激減しているのです。
このことを「脳番地」で解説すると、「視覚系」「聴覚系」「理解系」などがフル回転しているのですが、「運動系」がまったく働いていないということになります。
いずれにしても、脳の働き方のバランスが崩れていて、それによって脳の働きが悪くなっている状態と言っていいでしょう。脳の働きが悪くなれば、やはり自己肯定力も次第に下がってきてしまいます。
実際、自己肯定感の低い人を診断すると、ほとんどの人が体感経験が乏しいことに気づきます。
中にはオタク系の人がいて、それこそ知識経験は豊富なのですが、実体験が乏しいので、なかなか本当の自信を持てないようです。五感をフル活動させ、肉体を通じて得た経験は、生命体として一つの自信につながるのだと思います。
膨大な2次元情報に取り巻かれている私たちは、意識的に知識経験を減らし、体感経験を増やす必要があります。