コロナで東京脱出・地方移住はごく一部

私が住んでいる千葉県の郊外都市でも、この数年は戸建てもマンションも建築ラッシュで、都内から多くのファミリーが移転してきました。

おかげで待機児童の増加により保育園はコンビニよりも増え、小学校は児童数1000人を超えるマンモス校が市内に4校も存在。教室が足りず昨年新設校ができたのに、2年後にはさらに2つの新設小学校が開校するぐらいです。

それはともかく、開発し尽くして新規供給がほぼストップし、たとえば5年前の新築物件が、発売時よりも2割くらい高値で売買されています。

コロナで東京脱出・地方移住というのはほんのごく一部で、都市部の住宅需要や不動産価格を変えるほどの規模はありません。

コロナで変化した需要といえば、マンションから戸建てに人気が移ったことでしょうか。特に分譲戸建ては場所にもよりますが、マンションより安いという現象がここ数年続いていますから、「リモートワークがしやすい自分の部屋が確保できる」と戸建ての人気が高まりました(ただし、都心や駅近に住みたい層にはマンション一択)。

知人の宅地・戸建て分譲の経営者も、「建てれば売れる」「蒸発するように売れる」と言っていました。

写真=iStock.com/kokoroyuki
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不動産投資家の動きは冷静

また、不動産投資家も比較的冷静で、たとえば2005~2007年ごろのミニバブルのように、利回りが2~3%でも焦って買うという人はほとんどいない様子です。

不動産業者も直後のリーマンショックで転売業者がバタバタ倒れていった悲惨な状況を覚えていますから、そこまでリスクを取らない。

特に個人投資家は「無理して買う時ではない」と静観している人が大半です。

それに対して、不利な立地や耐用年数を超えたような古い物件を持っている人は、いまが出口のチャンスとばかり売りに出しています(利回り12%や15%でも、「この場所か……、この築年数か……」と投資する気にはなれませんが)。

不動産投資家も冷静、戸建てもマンションも投機ではなく実需層が買っているという感じで、居住物件全般としてはバブル的な要素は見られません。

一方で地方の公共交通機関が少ない不便なエリアでは相変わらず家が売れずに余っていますから、1980年代のバブルとは明らかに違う。

ただし、高騰しすぎたタワマンなどでは調整が起こる可能性はあります。特に今後やってくる大規模修繕では、計画予算とどれだけ乖離かいりしそれがトラブルを生むのか不透明です。