「中学を出たら働け」から28歳の起業

私は貧しい家の出身で若いときに父親も亡くしたため、中学を出たら働けと言われていた。私のことを気にかけてくれていた先生のおかげで、奨学金で工業高校と職業訓練大学校(現・職業能力開発総合大学校)に行けることになったが、当時はとにかく学べることがうれしくて、寝る時間を惜しんで勉強した。

そして28歳で起業したが、振り返ると10代、20代というのは人生のうちでもっとも体力があり、感性に優れ、大きな潜在能力を秘めている時期だった。そんな大事な時期に、受験で失敗したくらいで自信を失くして人生に投げやりになるなんて実にもったいない話である。

今の若い人たちは覇気がないとか夢がないなど、何かと批判されることも多いようだ。私も厳しいことを述べることもあるが、本当のところは、今の若い人たちは捨てたものではないと思っている。

もちろん批判されるような人もいるけれど、自分の夢や信念を持ち、それに向かって頑張っている人もたくさんいる。

若者には信じられないほどの潜在能力がある

若い人に覇気がなく、夢がない人が多いとすれば、それは、そのように育てた我々おとなの責任だ。

若い時期には信じられないほど大きな潜在能力を秘めているから、何かのきっかけでやる気に火がつけば、体中からとてつもないエネルギーが湧いてくるはずだ。そして自分に自信を持ち、「自分には無理」とあきらめていたときには考えたこともないアイデアや行動力が生まれ、その人にしか出せない力が一気に開花するのである。

私は、手にとってくれた皆さんの心に火をつけたいと思って、今回『大学で何を学ぶか』を著した。

若い人たちには、ぜひ夢を持ってほしいと熱望している。大きな夢でも小さな夢でもいい。自信を持って、その夢を叶えるために邁進してほしい。

そんな若い人たちがどんどん増えていったら、この日本はどれだけ明るく、希望にあふれた国になるだろうか。そんな日本を見ることが私の夢である。

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