よく金持ちから税金を取ればいいと主張する人がいますが、日本には金持ちなどほとんどいません。いたとしても大金持ちではなく、小金持ちにすぎません。
少し古い資料で恐縮ですが、私が2015年5月21日の参議院財政金融委員会で国税当局に聞いた数字があります。
日本の人口1億2550万人のうち、総合課税の適用を受けているのは4900万人程度。そのうち所得税の限界税率(所得税の税額計算の際に適用される税率)40%、45%(それに住民税10%が乗っかる)を払っているのは、たった30万人しかいないのです。
この税率を1%上げても、1%あたり400億円の増収にしかならないのです。900万円で適用される33%の税率を払っている人も、たったの50万人。33%の税率を1%上げても、たった500億円の増収です。毎年30兆~40兆円の赤字の穴埋めにはなりません。
所得税を上げるとしたら、課税最低限の引き下げか、5%の限界税率の引き上げしかないのです。5%の限界税率は1%あたり6700億円ですから、5%の限界税率を15%にすれば、6.7兆円の増収です。それでも全く足りません。ですから税収を増やすとするなら、消費増税しかないのです。
でも、政治的に無理だと思うのです。ですから私は「借金の踏み倒し=ハイパーインフレ」しか日本に選択の余地はないと言っているのです。
新しい中央銀行、新しいお札で再スタートするしかない
ハイパーインフレが進み、財政再建が行われたら、その時点で、政府はハイパーインフレの鎮静化に取りかかるでしょう。方法は3つ考えられます。
① ドルを法定通貨にする、
② 1946年のように日銀を残して預金封鎖し新券を発行する、
③ 終戦後のドイツのように、古い中央銀行を廃し、新中央銀行を設立する、
の3つです。
ドルの法定通貨化はハイパーインフレ以降、盛んに決済に使われるようになるであろうドルを、そのまま法定通貨として採用し、円を法定通貨から外す方法ですが、さすがにこれは国の威信にかかわりますから、しないと思います。
採用されるのは、おそらく②か③だと思っています。資本注入ができない以上、いずれの案も、ばらまいたお金の価値を減らすことにより中央銀行の負債を縮小させ、資産サイドとバランスをとるという考えです。