「親元未婚は経済的に自立していない」は本当か?

実際、そういう親元未婚男性もいるかもしれません。しかし、そうした生活を送っている単身未婚もいるでしょう。「子ども部屋おじさんとはこういうものだろう?」という決めつけと偏見に基づいて、それに沿った人をわざわざ見つけてきたのでしょうか。「中年になってまで親元に住み続けるような未婚男性は、経済的にも自立していない(金がない)がゆえに、恋愛も結婚もできない人たち」と演出したいのでしょうか。

そもそも親元未婚は経済的に自立していないと決めつけられるのでしょうか?

公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構が2020年資料から、40~50代だけを抽出して男女別に親元未婚と単身未婚との年収分布を比較したものが以下になります。男性は100万円未満の割合が多く、1000万円以上が低いですが、とはいえそれほど全体的に大きな違いがあるわけではありません。むしろ、女性の親元未婚のほうが低年収層に偏っています。

つまり、親元未婚の男性といっても、大部分は就労しているし、単身未婚より多少年収が低い分は、親元に住むことによって住居費や光熱費を節約しているという「賢い生き方」をしているともいえるでしょう。

実家暮らし無職の理由1位は「病気・けが・障害」

もちろん、中には働きもせず、それこそ親に依存している親元未婚もいるかもしれません。しかし、それは別に昭和の時代でも存在していたし、働いていない親元未婚がすべて「なまけ」や「甘え」による無職であるとも限りません。病気やけがで働きたくても働けないのかもしれないわけです。

また、若年層と違って40代以降ともなれば、70歳を超える親がいます。中には親の介護のために、一人暮らしから親元に復帰した親元未婚者もいるはずですし、その割合も増えています。

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そうした場合、最悪介護離職を余儀なくされた人もいます。仮に中高年親元未婚の年収が低いという現象があったとしても、それは介護離職したことに起因する場合もあり得るのです。

ちなみに前掲した年金シニアプラン総合研究機構の2020年調査によれば、親元未婚が無職となった理由の1位は男女とも「病気・けが・障害のため」で男性49.6%、女性44.1%であり、親元未婚となった理由に「親の介護のため」と回答した割合は男性10.9%、女性10.4%です。