男女差も年代差も、ましてや趣味の差もない
個々人の事情はさまざまです。未婚である理由も、誰もが「結婚したいのにできない」という不本意未婚者ばかりではありません。「結婚する意志のない・結婚する必要性を感じない」選択的非婚の人たちも大勢存在します。
未婚化の要因に、経済的要件があることは否定しません。特に男性の場合は、働いているにもかかわらず「金がないから結婚できない」と愚痴を言いたくなるような給料の人たちもいるでしょう。残念ながら、男性の場合、結婚相手の条件として「経済力」は足切りとして使われてしまうものでもあり、事実、生涯未婚率は年収が低ければ低いほど高くなります。
しかし、それは親元であろうと一人暮らしであろうと変わらない。どんな趣味を楽しんでいるかはもっと関係ない。事実に基づけば、親元未婚率は男女の差も年代の差もないし、親元未婚が経済的自立をしていないと断じることもできない。確たるエビデンスのない推測を思い込みで結論づけるべきではありません。
これはいじめと何が違うのか
あまつさえ「いい歳をして未婚で、親元に住み続けているような男はきっとこういう趣味を持つのだろう」というイメージを作り上げて、「ほら、イメージ通りでしょ? こういう人たちだから自己責任なんです。どうぞ叩いても構わないですよ。しかもおじさんだし」といわんばかりの記事や番組には疑問が湧きます。炎上するのも当然です。
親元に住もうと住むまいと、未婚だろうと結婚していようと、若者だろうと中年だろうと、ましてやどんな趣味を持っていようと、それをもって叩いていい人などいません。誰かをいけにえにして留飲を下げるような行動は、それこそいじめと何が違うのでしょう。