「岸田首相トークン」も登場?

このNFTを政治の場でどう活用するのか。

「例えば、私の政策講演会ならば『川崎トークン』とか、あるいは『河野太郎トークン』、『岸田首相トークン』などを発行する。それぞれの講演会の最後にスクリーン上にQRコードを表示することで、最後まで聴いてくれた人だけがスマホなどでコードを読み取ってそれを個人のウォレットと呼ばれる電子財布に保存できる。

参加したことの証明になると同時に、自分だけの記念コインのようなものにもなる。これはブロックチェーン技術によって改竄もできないし他人に売却や譲渡もできない、それこそ自分だけの唯一のもの。これを何枚かためた人には、何か特典のようなもの、そうですね、講演者と直接対話ができるとか、何かプレミアムを設定しておくことで参加の意欲を高めることもできるのではないでしょうか」

メタバースの普及には民間技術だけでなく、早急な法的整備も必要だという

法的には“グレーゾーン”がまだまだ多い

とはいえ、現状では技術先行で法規制が追いついていないメタバースの世界。今後の課題はどのあたりにありそうか。

「まず感じたのは、プラットフォーマーと呼ばれる企業が日々どんどん増えているということ。今回利用させてもらったクラスター社もそうですし、すでに世界で登録者が7億人もいるというソフトバンクのプラットフォームなど、世界では次々に登場している。それらがいまはまだ乱立している状態で、横の連携は何もない。

そうすると、かつてのグーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンらGAFAのように、巨大なプラットフォーマーが覇権争いを展開し、寡占による弊害も出かねない。その点では、はやく横の連携をつくる仕組みを考えるべきでしょう」

さらに、先述したNFTにも課題がある。

「メタバース上でトークンなどデジタル資産が取り引きされるようになると、これが賭博行為にならないかという問題も出てきます。例えば、メタバースでのゲームで勝者にトークンなどが配分されると、まさに賭博とみなされるかもしれない。現状ではグレーのままですが、グレーだと新規参入に躊躇する流れができかねないですから、これもいち早く法的にクリアにしておく必要があると思います」