「私も、司会進行役としてアバターを登壇させました。そしてもちろん、聴衆もそれぞれのアバターです。みなさん、スマホやパソコンなどから参加しているわけですが、ご自宅だったり外出先だったり、どこにいても、日本どころか世界のどこからでも参加できる。それぞれVRゴーグルを通して、同じ会場でその場にいる体験ができるわけです」

メタバースプラットフォームを展開する「クラスター」社のシステムを利用したこの日の聴衆は、延べ1000人ほど。システム上は同時接続が10万人まで可能だというが、今回は上限を500人に設定していた。

メタバース上につくられた街頭演説会場
画像提供=川崎ひでと氏
メタバース上につくられた街頭演説会場

演説中にさまざまなリアクションが飛んでくる

「河野議員ら登壇者の面々もはじめはちょっとぎこちない感じでしたが、慣れてくるとアクションもどんどん取り入れて、楽しみながら演説している感じでしたね。何より、これまでのリアルの演説会だとだいたい聴衆の方々は静かに聴いているので、喋っているほうはなかなか反応というか手応えがつかみにくい。

それがこのメタバース上では、聴衆の方々も自分のアバターでさまざまなリアクションができるため、登壇者もじかに反応を感じられ、余計に演説に熱が入っていくのです。

私自身も、宇宙旅行のときもそうでしたが、自分のなかではほんとにリアルにその場にいる感じで、まさに目の前や隣などに実際にその人がいる感覚を味わえる。極端な言い方をすれば、隣のアバターの体温すら感じられるようなリアルさなんですよ」

リアルと違って周囲を気にする必要もない

聴衆アバターは、演説の一言一言にハートマークを送ったり、腕を動かして大きな拍手をしたり、あるいは登壇者のアバターとグータッチ、ハイタッチなどの触れ合い方もできるし、チャットのようにリアルタイムでコメントも送れる。リアルの演説会場だとどうしても周囲を気にしてそうしたリアクションを取れなかったりするが、アバターであるために人目を気にせず自由に反応できる雰囲気になるのかもしれない。

「今回のアバターはアニメのような設定で、もちろん、聴衆の方々もみなさんそれぞれ自由に自分のアバターをつくれるわけですが、プラットフォームのシステムによっては、最初にアバターをつくる際、自分の顔を正面からスキャンするだけで、瞬時にAIが実際の自分と同じ顔かたちのアバターを3Dでつくっちゃう。これだとさらにリアル感が増しますね」