電気自動車(EV)の市場で日本企業は出遅れたといわれる。これから日本車はどうなるのか。モビリティ・コンサルタントの西口恒一郎さんは「現在のEVシフトは『3つの壁』を棚上げしているので、まだ限定的だ。今後、本格普及するタイミングで、『交換式バッテリー』を押さえれば、日本車はまた世界一をとれるだろう」という――。
充電ステーションで充電中のEV2台
写真=iStock.com/Дмитрий Ларичев
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EV販売台数でホンダは27位、トヨタは29位

世界で電気自動車(EV)の普及が加速している。日本経済新聞は4月12日、一面トップで「2021年に世界の電気自動車(EV)の新車販売台数が約460万台と20年の2.2倍に増え、初めてハイブリッド車(HV)を上回った」と報じた

こうした流れにおいて、トヨタや日産、ホンダなどの国内プレーヤーの存在感は決して大きいものではない。むしろ、出遅れた、ともいえる状況だ。

日本経済新聞の集計によると、2021年のメーカー別EV販売台数の1位は米テスラ。そして2位の上海汽車集団をはじめ、上位20社・グループ中12社が中国勢となった。日本勢は日産・ルノー・三菱のグループの5位が最高で、ホンダは27位、トヨタは29位に位置する。

EV市場を牽引するヨーロッパや中国の自動車メーカーは、脱炭素化の流れの中でいち早くEVへ舵を切り、政府からの大規模な投資を受けてEV普及のためのルール作りを進めてきた。販売台数でも存在感を放っている。

一方の日本は、市場に出回っているEVの比率はまだまだ低い。今後、EVが自動車業界の主戦場に移り変わるのであれば、改めて国内プレーヤーはEVの展開戦略を考え、いま一度、自動車ビジネスをリードするポジションを奪い返す必要がある。

出遅れた日本の自動車メーカーは挽回することができるのか。筆者は可能であると考えている。重要なカギを握るのはバッテリー(蓄電池)だ。今年から二輪電動バイクで始まる「交換式バッテリービジネス」がEV領域で非常に参考となる。本稿ではEV普及と日本の自動車メーカーの今後の可能性について考察したい。