借金やローンは「労働時間の前借り」
私たちは一生懸命働き、生活費や税金、社会保険料はもちろん、クレジットカードの引き落としなどを毎月のように払っています。だから、私たちの多くは毎月月末に支払いを終えると、手元にはごくわずかなお金しか残りません。私は、「支払いに追われる生活」が、永遠に続く重荷のように感じていました。
しかも、高収入で贅沢をしている人をSNSで発見するたびに、自分だけ取り残されている気分になっていました。欲しいものはキリなく出てくるし、引っ越ししたり、転職したり、家具家電を新調したりすれば、永遠にお金が貯まりません。私の場合、気づけば借金が340万円まで膨らんでいました。
借金やローンは、いわゆる「労働時間の前借り」です。借金があればあるほど、そのぶん働かなければいけません。そしてローンを組めば、欲しいものが「今すぐ」手に入る代わりに、「あなたの労働時間を差し出す」という代償があるのです。借金やローンには、そういった罠が隠されているので注意が必要です。多くの人間は、目の前の欲しいものが手に入った喜びに舞い上がってしまい、そんなことはどうでもいいと感じているかもしれませんが、そのことをキチンと理解する必要があります。
なぜ多くの人は、労働時間を前借りしてまで、欲しいものをすぐに手に入れたがるのでしょうか。その原因の1つが、「欠乏マインド」です。
欠乏マインドがある限りお金は貯まらない
「あの人はこれも持ってる。こんなこともしている」「なのに、自分にはこれがない。自分はこれができてない」というように、自分の見ている世界が「持っていないもの」や「できていないこと」、つまりは「足りないもの」だらけになっているのです。その足りないものを今すぐ手に入れたい衝動から、多額の借金やローンを組んでしまうのかもしれません。私も、何かが「足りない」と感じると、渇望し、すべてが「必要」と勘違いしてしまい、いつも衝動的にお金を使っていました。
世の中には、いいモノや新しいモノが次から次へと出てきます。それをすべて手にすることはできません。より多くを手にするには、借金をするか、お金を貯めては買ってを繰り返すかしかありません。そんな生活になっていないでしょうか。つまり、この欠乏マインドは、買えば買うほどさらに欲しくなるという悪魔のサイクルをつくり出し、そのことに気づかなければ永遠に抜け出すことができないのです。
そして、この欠乏マインドの怖いところは、お金自体が欠乏してしまうと、生活において「お金」が最も重要なものになってしまうことです。お金を最優先して、自分らしくない生き方をしてしまいます。
例えば、ローン返済のためにやりたくない仕事をしぶしぶ続けていたり、ブラック企業から抜け出せなかったり、1日10時間以上働かなければならなかったり、休みなく働いたり。せっかく稼いだお金で、大量のモノを買って浪費する。もはや生活に必要なモノは十分あるはずなのに、贅沢やストレス発散、衝動買いで浪費するようになります。そして、お金がまた足りなくなるのです。