腸内環境はメンタルヘルスの好不調も左右する

腸内環境の悪化は、血液の栄養不足とともに、酸素不足を招きます。血液中の酸素が不足すると、全身の細胞の生命力が失われて体力や免疫力も低下し、いざというときに体調が崩れたり、風邪をひきやすくなったりします。

また、脳が酸素不足になると、メンタル的にもマイナス思考になって、うつ症状が現れたり、イライラして怒りっぽくなったり、集中力が散漫になることもあります。

ここで考えたいのが、「腸」と「脳」の関係についてです。

「ストレスなどの影響で自律神経が乱れると、腸の調子が悪くなる」という話をしましたが、これは、脳のストレス状態が自律神経を通して腸に悪い影響を及ぼした結果だといえます。

脳と腸は自律神経を介して影響し合っている

この「脳から腸へ」の影響は、以前からよく知られていました。

写真=iStock.com/Pikovit44
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しかし近年になって、腸内環境の悪化による不快感や不安が自律神経を通して脳に伝わり、脳にも強いストレスを与えてしまって、気分や感情というメンタルヘルスに悪影響を及ぼすという「腸から脳へ」の影響もわかってきました。腸に病原菌が増えることで、脳で不安感が強くなるという報告もあります。

つまり、脳と腸は自律神経を介して互いに双方向に影響し合う関係にあるのです。これを「脳腸相関」といいます。

便秘や下痢などを繰り返し、腸内環境が悪化した人に、メンタルの不調が起こりやすい要因のひとつに、この「脳腸相関」があると考えられています。慢性的な便秘や下痢に悩まされている方で、心当たりのある人もいるのではないでしょうか。

腸は「第2の脳」

私の「便秘外来」では、便秘や下痢を改善して腸内環境がよくなった結果、気持ちが明るくなっただけでなく、うつ症状まで改善したケースも少なくありません。

腸は「第2の脳」と呼ばれ、メンタルヘルスにも大きく関係しています。

コロナ禍の今こそ、メンタルヘルスを考えるうえで、「脳腸相関」は注目すべきテーマのひとつであると私は考えています。

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