自律神経研究の第一人者として知られる小林弘幸・順天堂大学医学部教授は日本初の「便秘外来」を開設し、1万人以上の患者を診てきた。腸内環境が改善するだけで、5~10kgのダイエットに成功する人がたくさんいるというのだが、いったいどういうことなのか──。(第3回/全3回)

※本稿は、小林弘幸『自律神経を整える』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

自律神経と腸の密接な関係

自律神経と腸は、互いにコントロールし合う、切っても切れない関係にあります。

自律神経が腸に与える影響については、皆さんも日常的に実感しているところではないでしょうか。

たとえば、大事な仕事のプレゼンテーションや習い事の発表会の前日などに、緊張やプレッシャーでお腹が痛くなったことはありませんか。また、ストレスフルな日々が続くことで、便秘や下痢をしたり、それらを交互に繰り返したりしたことはないでしょうか。

これらは、ストレスなどにより自律神経のバランスが崩れた結果、腸に悪い影響が現れてしまった典型的な現象です。

腸の絵
写真=iStock.com/mi-viri
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腸の状態が自律神経に影響を及ぼす

しかし、ストレスが解消されて自律神経のバランスが整ってくると、腸の調子は自然とよくなっていきます。自律神経によって腸がコントロールされ、本来の働きを取り戻すからです。

逆に、腸の状態が自律神経に影響を与えてもいます。

不規則な生活が続いたり、食生活が乱れて便秘になったりするなどして、腸内環境が悪化すると、ドロドロの血液が全身を巡ることになります。栄養がきちんと吸収されず、余ったものが脂肪となって肥満を招いたり、老廃物が蓄積して全身がだるくなったり、肌が荒れたりします。

その結果、イライラしたり、神経質になったりして、交感神経が過剰に優位になり自律神経のバランスは大きく崩れます。