TikTokは新規顧客を開拓するうってつけの場
――TikTokもYouTubeも動画のプラットフォームですが、違いはあるのでしょうか。
YouTubeのほうが検索ベースで、見たいものを決め込んでいる人が多いように思います。ですから、もともとメイクに興味がある方に深く伝わっていく。それに対してTikTokは、コンテンツベース。「何か新しいもの」を発見しにいく方々が多いので、メイクに興味がない方にも広く届く。そのため、TikTokはまだ獲得していない層の、潜在的なニーズを掘り起こす可能性があると感じています。
――最初から「これは絶対やろう」と決めていたことはありますか?
絶対に必要だと思ったのは若者に刺さる、インフルエンサーを起用したコンテンツ作りです。そのうえで、プラットフォームをどこにしようかと考えたときにTikTokを選びました。
当時、化粧品業界でTikTokを使っている企業はほとんどなく、他社がラーニングできていないからこそ、新たな成果を作れるのではないかと考えたのです。
「台本はNG」インフルエンサーの生の声を伝えてもらう
――インフルエンサーとのコラボはどういったものだったのでしょうか。
もともとメイベリン ニューヨークのファンと言ってくださっていた方や、男女問わずメイクが好きなインフルエンサーにコラボをお願いしました。TikTokのユーザーに刺さる方法を一番よく知っている方たちなので、動画の構成はお任せしました。ブランドが伝えたいことは2割以下に抑えて、インフルエンサーが私たちの製品を使って感じたことを率直に伝えてもらいました。
――ブランドの狙いを一方通行で伝えてはダメなのですね。
やはり製品に対して熱量を持って開発しているので、伝えたいことはたくさんあります。ですが、Z世代の方々って、本当にリアルに使った人の声をすごく尊重されているんですよね。ですから、インフルエンサーとコラボといっても、伝え方はインフルエンサーの自由で台本はありません。すべて、ご自身の言葉で語っていただきました。
もちろん、われわれが伝えたい2割のこと、今回で言えば「崩れにくさ」「色展開の豊富さ」がありますが、ご本人たちが納得しなければ無理にお願いすることはしませんでした。