2023年1~2月が東日本の電力危機の正念場
太陽光発電がある程度普及すると、需給逼迫による電力危機は、夏よりも冬に、より厳しいものとなる。夏の電力需要がピークに達するのは冷房の使用規模が増大する晴れた日の真っ昼間だが、その時には太陽光発電がフル稼働している。
これに対して、冬の電力需要が高まるのは朝夕の時間帯であり、太陽光発電の稼働はあまり期待できない。とくに寒い雪の日に冬の電力需要はピークを記録するが、そのような日には太陽光発電はそもそも稼働することがない。このような事情から、電力危機の正念場は、今夏ではなく来冬にやって来る。
注意すべき点は、とくに東日本の電力危機が深刻なものになることだ。すでに再稼働を果たしている10基の原子炉、今年中に運転を開始する3基の大型石炭火力(この点については、プレジデントオンラインに寄せた拙稿「世界中を悩ませる『LNGの脱ロシア化』で、欧州には不可能かつ日本にしかできない最善のエネルギー源」参照)のいずれもが、周波数60ヘルツの西日本に所在する。
対照的に周波数50ヘルツの東日本には、再稼働している原子炉は皆無だし、今年中に新設される石炭火力もない。そして、「東西間の送電連系の脆弱性」は、あいかわらず存在し続けている。
電力危機は、間違いなく2023年1~2月の東日本で正念場を迎える。それへの有効な対応策は、今のところ節電しかないというのが実情である。